苗字を変えたくないから事実婚を選ぶのはわがままなのか?
こんにちは。やまもです。
現在、僕たちは事実婚という形で生活しています。
自分たちが事実婚を選んだ理由はいくつかあります。
- 3年同棲してきて、結婚しても日々の暮らしは大きく変わらないと思った
- そもそも「結婚したい」という気持ちが、そこまで強くなかった
- 制度に合わせるよりも、ふたりが納得できる形を選びたかった
このような気持ちが重なって、僕たちは事実婚という選択をしました。
その理由の1つに、苗字の問題もあります。
僕たちは、どちらも自分の苗字を変えたくありませんでした。
だからこそ、法律婚ではなく事実婚を選んだという面もあります。
もしかしたら、「結婚はしたいけど、苗字は変えたくない」と感じている人もいるかもしれません。
そこで今回は、苗字を変えたくないという理由で事実婚を選んだ身として、苗字を変えたくないのはわがままなのか?ということを考えてみます。

苗字を変えたくないことはわがままなのか?
まずは、「苗字を変えたくないという気持ちは、本当にわがままなのか?」という問い自体を、できるだけフラットに考えてみたいと思います。
日本では女性が苗字を変えるケースが大半
日本の婚姻制度では、結婚する際に夫婦のどちらか一方の姓に統一することが法律で定められています。
そして実態としては、厚生労働省の人口動態統計によると、直近で確認できる2024年のデータで、婚姻した夫婦の94.1%が夫の姓を選択しています。

つまり、多くのケースで女性側が苗字を変えているのが現状です。
「普通」から外れると、わがままに見えてしまう
社会的なデフォルトが「女性が苗字を変える」になっているからこそ、そこから外れようとすると、「わがまま」と受け取られてしまうことがあります。
「わがまま」という言葉は、多数派の感覚や普通とされているものから外れたときに、向けられやすいものだと思います。
苗字を変えることが当たり前のように扱われている環境では、「変えたくない」という気持ちが、特別な主張のように見えてしまうのかもしれません。

僕がパートナーに苗字を変えてほしいと思わなかった理由
そうした前提や考えがありつつ、ここからは僕自身の話です。
僕は、あんぽん(相方)に自分の苗字を名乗ってほしいと思ったことがありませんでした。
なぜそう感じていたのか、あらためて考えてみます。
苗字は、その人のアイデンティティの一部だと思う
あんぽん(相方)は、長年いまの名前で生きてきています。
職場でもプライベートでも、その名前で呼ばれ、その名前で人との関係を築いてきました。
それを変えることは、少し大げさかもしれませんが、自分の一部を手放すようなことにも感じます。
もちろん、パートナーとして一緒に生きていきたいとは思っています。
でも、どれだけ近い関係であっても、相手には相手の人生があります。
だからこそ、相手が大切にしてきたかもしれないものを手放すよう求めることを、「結婚するなら当然」として扱うのは、僕にはかなりおこがましく感じました。
「変えてもらって当然」という前提に違和感があった
男性側が「自分の苗字を名乗ってほしい」と自然に思える背景には、長年の慣行や、それによってつくられた無意識の前提があるのだと思います。
ただ、それを深く考えないまま「結婚するならそういうもの」としてしまうと、かなり非対称な関係になりやすいとも感じます。
少なくとも、「普通はそうするから」という理由だけで、相手のキャリアや人間関係、自己認識にも関わる変更を「結婚するなら当たり前」として求めることには、僕は違和感があります。
なので僕の場合は、シンプルに「苗字を変えてほしい」「自分の苗字を名乗ってほしい」という気持ちが、そもそも起きなかったという感じです。

パートナーが苗字を変えたくなかった理由
あんぽん(相方)自身も、自分の苗字を変えたくないという気持ちを持っていました。
基本的には「今の苗字のままでいたい」という思いがありつつ、めちゃくちゃ嫌というほどではなかったそうです。
ただ、もし変えるなら、珍しい苗字にしてみたい気持ちはあったとのこと。
その点、やまも(僕)の苗字はかなりありふれたものなので、それなら自分の苗字のままがいいというのが、あんぽんの正直な感覚でした。
あんぽんが苗字を変えたくない理由は、少しおもしろくもあり、人によっては軽く見えるかもしれません。
でも、実際に苗字を変えるのは本人です。
だからこそ、その本人が「変えたいと思えるか」「納得できるか」は、とても大事なことだと思います。
周りから見て立派な理由かどうかではなく、自分にとってどう感じるかでいいはずです。
ふたりとも苗字を変えたくなかったから、事実婚が自然だった
ここまで読むと、「それなら僕(やまも)が苗字を変えればよかったのでは?」と思う人もいるかもしれません。
たしかに、それも1つの選択肢です。
ただ、僕自身も自分の苗字を変えたいとは思っていませんでした。
- 相手に変えてほしいとは思わない
- でも、自分が変えたいわけでもない
そう考えると、僕たちの場合は「どちらかが折れる」よりも、「どちらも苗字を変えない形」を選ぶほうが自然でした。
この感覚も、事実婚を選んだ理由の1つになっています。

「苗字を変えたくないのはわがまま」という言葉に思うこと
「苗字くらい変えればいい」「そんなにこだわる必要ある?」と感じる人は、今でも一定数いるのではないかと思います。
そう言う人の多くに、強い悪意があるわけではないはずです。
実際、自分の親世代も、夫婦で同じ苗字になることを当たり前のものとして受け入れてきた人が多いと思います。
だからこそ、ただ「そういうもの」として生きてきて、その前提を疑う機会がなかっただけなのかもしれません。
ただ、問いを逆にしてみると、「どうして苗字を変えてほしいのか?」という疑問に、はっきり答えられる人がどれだけいるのだろうとも思います。
「普通そうするから」以上の理由は、意外と出てこないことも多いのではないでしょうか。
苗字へのこだわりは「わがまま」で、変えてほしい気持ちは「当たり前」なのか
そのうえで、「変えたくない」という気持ちを「わがまま」と言う人が、同時に「変えてほしい」という気持ちを当然のものとして扱っているとしたら、それは少し不公平に感じます。
どちらも、自分の望む形にしたいという気持ちには変わりありません。
もちろん、これはどちらが正しい・間違っているという話ではないと思っています。
ただ、「わがまま」というラベルが、苗字を変えたくない側にだけ貼られてしまうことには、やはり疑問があります。
相手のために苗字を変えることだけが思いやりではない
結婚に限らず、パートナーと一緒に生きていくうえでは、どこかで歩み寄りが必要になる場面があります。
ただ、歩み寄りは、必ずしもどちらかが我慢することではないと思っています。
苗字の話でいえば、片方が嫌だと感じているのに、「結婚するなら仕方ない」と飲み込むことだけが思いやりではありません。
どちらも変えたくないなら、どちらも変えない形を探す。
それもまた、ふたりで考えた末の歩み寄りだと思います。
なので僕たちの場合は、どちらかが譲らなかった結果として事実婚を選んだのではなく、
お互いが納得できる形を考えた結果として、事実婚が自然だったという感覚です。

ふたりとも今の苗字のまま法律婚することはできない
苗字を変えたくないという気持ちがあっても、現状日本では、ふたりとも今の苗字のまま法律婚することはできません。
では、現実的にどうするのか。
ここからは、その選択肢について整理してみます。
苗字を変えたくないときの現実的な選択肢
苗字を変えたくないと感じたとき、現実的な選択肢はいくつかあります。
- どちらかが改姓して法律婚をする
- 法律婚をしつつ、仕事など一部の場面では旧姓を使う
- 事実婚を選び、お互いの苗字をそのままにする
どれが正しいという話ではありません。
それぞれに納得できる点があり、その一方で受け入れる必要があることもあります。
選択的夫婦別姓が実現していない今
選択的夫婦別姓の議論は長年続いていますが、2026年時点でも、法律婚では「夫婦のどちらか一方の苗字に統一する」ことが義務づけられています。
つまり、現在の法律婚では、婚姻時に夫または妻のどちらかの苗字を選ぶ必要があります。
結婚前の苗字が異なるふたりであれば、通常はどちらかが苗字を変えることになります。
職場で旧姓を使える場合や、住民票・マイナンバーカード・パスポートに旧姓を併記できる制度もあります。
ただ、それによって戸籍上の氏が変わらなくなるわけではありません。
場面によっては、新しい姓と旧姓を使い分ける必要も出てきます。
なので、「通称使用できるなら問題ない」と簡単に片づけられる話ではないと思っています。
実際、内閣府関連の調査では、「積極的に結婚したいと思わない理由」として、「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」と答えた人が、20〜39歳の独身女性で25.6%、独身男性で11.1%います。

苗字の問題は、一部の人だけが気にしている特殊な悩みではなく、結婚そのものを考えるうえで無視できない論点になっているのだと思います。
事実婚という選択肢
「苗字を変えずに一緒に生きていく」という選択肢は、事実婚によって現実のものになります。
婚姻届を出さなければ、苗字を変えることなく、ふたりの生活を続けていけます。
もちろん、事実婚には、相続や税制、各種手続きの面で法律婚と異なる点があります。
事前に考えておいたほうがいいことも少なくありません。
だから、「苗字を変えたくないなら事実婚でOK」と単純に言いたいわけではありません。
それでも僕たちは、そうした違いも踏まえたうえで、苗字を変えずに一緒に生きていく形を選びました。

最後に
苗字を変えたくないという気持ちは、決してわがままではないと思います。
長年使ってきた自分の名前を守りたい。
それだけで、十分な理由になるはずです。
そもそも、苗字に対してどう感じるかに、正しい形なんてないと思っています。
事実婚という形が自分たちに合うかどうかは、人それぞれです。
ただ、「苗字を変えずに一緒に生きていく」という選択肢の1つとして、知っておいてもらえるといいのかなと思います。
ということで、今回はこのあたりで終わりにします。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、また。
